たまたま吹けた? それとも力がついた?
フルートを練習しているとき、こんな経験はありませんか?
「今の音、なぜかきれいに鳴った!」
「さっきできたのに、もうできない…」
私自身も学生の頃はよくそう感じていました。
「なんで吹けたんだろう?」「なんでできたんだろう?」と自分でも分からないまま本番に臨み、
案の定うまくいかず落ち込むことも少なくありませんでした。
学生時代での気づき —— 感覚を“言葉”にすること
高校時代、とある試験前の練習で「今日は調子がいい」と感じたことがありました。
でも、先生に「じゃあ、何が良かったの?」と聞かれると答えられない。
「たぶん息が通った気がします」と曖昧な返事しかできず、自分の演奏を説明できなかったんです。
そこで先生に言われたのが、
「できたときの感覚を、必ず言葉に残しておくこと」でした。
それ以降、うまくいったときは必ずメモを取るようにしました。
「息の方向を意識した」
「頬を少しだけ引き上げてみた」
「おへその下あたりに呼吸の支えを置くように意識して吹いた」
こうして言葉にすることで、“たまたま”ではなく“再現できる方法”に少しずつ変わっていきました。

「できない」には必ず理由がある
音楽の練習は、ただ繰り返すだけでは身につかないことが多いです。
むしろ「できなかったときの理由」を見つけることのほうが、次の上達につながります。
- タンギングが詰まる → 舌の位置が変わってしまった?
- 音がかすれる → 唇や腕に余計な力が入っていた?
- 連符が上手くいかない→苦手な指使いはどこの音と音なのか?
「うまくいかない=下手だから」ではなく、
「なぜ?」を探す視点を持つこと。
これが、大人になってから私が一番強く実感している学びです。
気づきを“その場で残す”ということ
私は練習の中で「これは大事な感覚だ」と思ったことを、その場で楽譜に書き込んだり、一言で残すようにしています。
気づきを短く言葉にしておくだけでも、次の練習につながる大切なヒントになります。
- 「音が軽く響いたのは、息をまっすぐ届けたから」
- 「低音が安定したのは、体の重心を落ち着けたから」
ほんの一言でも、そのときの感覚が形になって残っていれば、後から吹くときにすぐ思い出せます。
その感覚は自分が分かるもので構いません。
「ただの偶然だったかも」と思っていたことが、
「あのときこうしたらうまくいった」と再現できる手がかりへと変わっていくのです。

「できた」を積み重ねる練習へ
「なんで吹けたんだろう?」から抜け出すためには、
・できた感覚を言葉にすること
・できなかった理由を探すこと
・小さな気づきを記録すること
この3つを続けていくことが、結局一番の近道だと感じています。
その積み重ねが「再現できる演奏」につながり、やがて「表現したい音」を自由に描ける力になっていくのだと思います。
最後に
私自身、練習の中で「今日は偶然うまくいっただけだ」と思ったことが何度もありました。
でも、その偶然の裏には必ず理由がある。
そこに気づけるかどうかが、次の成長を分けていきます。
「できた理由」を自分で見つけられるようになったとき、
練習が“作業”ではなく、発見や楽しさに出会える時間に変わっていきます。
ここで書いたことが、みなさんの音と向き合うときの小さなヒントになれば嬉しいです^^♪

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