アンサンブルで学んだ“聴く力”

フルート奏法

こんにちは^^
今日は、フルートを吹くうえでとても大切な「聴く力」についてお話ししたいと思います。
特にアンサンブルや合奏の中では、この“音を聴くこと”が演奏を大きく変えると感じています。

自分の音だけを聴いていたあの頃

学生の頃の私は、「正しく自分のパートを吹くこと」ばかりに意識が向いていました。
もちろんそれも大切なことですが、アンサンブルではそれだけではうまくいかないんですよね。

いざ合わせてみると、
「ちゃんと吹いているのに、何かずれている」
「入るタイミングが合わない」
「他の人と音の方向が違う気がする」
そんなことが何度もありました。

そのとき気づいたのは——
“自分の音を出す”ことと“周りの音を聴く”ことは、同じくらい大切なんだということでした。

フルート演奏

「聴く」とは、拍を数えることではない

最初のころの私は、「休符を数えて自分の出番を待つ」ことに必死でした。
でも、それだけでは音楽の流れには乗れません。

アンサンブルは“会話”のようなもの。
前の人がどんな音でフレーズを終えたか、
どんな空気で次につなげようとしているかを感じ取ることが、自然な入り方につながります。

休符は「音のない時間」ではなく、
「次の音楽を感じるための時間」。

たとえば、メロディを他のパートから受け継ぐような楽譜では、
相手のメロディを“歌うように感じながら”流れに乗って吹く。
そんな練習をしてみるのもおすすめです。

自分の役割を“聴いて知る”

アンサンブルの中で、自分のパートがどんな役割を持っているのか——
それを意識するようになったのも、大きな変化でした。

主旋律なのか、オブリガートなのか、
ハーモニーの一部として溶け込むのか、
それとも会話のように受け渡すフレーズなのか。

同じ音でも、立ち位置が変われば吹き方も変わります。
音のバランスを整えたり、少し引いて響かせたり、逆に主張を強めたり。
「聴く力」は、自分の音を“調整する力”でもあるのだと感じています。

聴く力を育てる3つの小さな工夫

「聴く耳を育てる」と聞くと難しそうに思えますが、
実は日々の練習の中で少し意識するだけで変わっていきます。

合わせる前に、他のパートを歌ってみる
旋律の流れを体で覚えると、自分の出番の“意味”が分かります。

同じフレーズを吹くときに、息を合わせてみる
完全に同じ音にしようとしなくても大丈夫です。
相手の息づかいに寄り添う意識を持つことで、自然と音のまとまりが生まれます。

録音を聴いてみる
客観的に聴くと、「ここで自分が出すぎていた」「ここは溶け合えていた」と気づきが見つかります。

音で“会話できた”あの瞬間

学生の頃、合奏でクラリネットと掛け合う部分がありました。
私が入る前に吹かれた音に反応して音を返すと、
相手もまた音で返してくれて——まるで音で会話をしているようでした。

言葉は交わしていないのに、呼吸がそろい、空気がひとつになる。
そのとき、「音を聴く楽しさ」を心から実感しました。

フルートとクラリネット

“聴く”ことから広がる音楽の世界

アンサンブルは、音でつながるコミュニケーション
誰かの音を聴くことで、自分の音も変わる。
そして、自分が変わることで、相手の音も変わっていく。

音楽は、合わせるものではなく、“一緒に呼吸するもの”。

「聴く力」は、技術ではなく心の柔らかさ。
その耳を育てることが、音楽を長く楽しむいちばんの近道だと思います。

最後に

アンサンブルでの気づきは、
一人での練習にも、日常の人との関わりにも通じている気がします。

相手の音を聴くように、人の声にも耳を傾けてみる。
そうすると、音楽も人との時間も、少しやさしく感じられます。

レッスンでは一人で音と向き合う時間が多いですが、
アンサンブルで音を重ねると、新しい発見がたくさんあります。
音の響き方呼吸のタイミング、そして“誰かと作る音楽の楽しさ”
そうした体験を通して、フルートという楽器の魅力を
より深く感じてもらえたら嬉しいです。

フルートは一人で演奏することも楽しいですが、
人と一緒に音楽を作ることもとても魅力的な楽器です。
そんなアンサンブルの時間を、これからも楽しんでいきたいですね^^

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